まず、紙を広げる場所を作る

描く作業の机には、紙、筆記具、資料、飲み物、場合によってはキーボードやタブレットも並びます。置ける場所が空いていても、描くために手を動かせる場所があるとは限りません。使わないものを脇へ移し、いま描く紙や機器を無理なく置けるか確かめてみましょう。

机や椅子の高さを考えるときは、他の人の机をそのまままねるより、自分が実際に座っているときの様子を見ます。紙の端へ手を伸ばすとき、画面を見るとき、資料を手に取るとき。どこかへ体をひねり続けていないか、腕の置き場所がなくなっていないかを、作業に沿って確かめます。

下描き、ペン入れ、色を置く作業では、机の使い方が変わることもあります。道具が増えたまま同じ場所へ詰め込まず、工程が変わるときに置き直す余地を残しておくと、何を使っているかも把握しやすくなります。

紙のペンと、スタイラスの違いを眺める

紙に触れるペンと、タブレットで使うスタイラスでは、手元の感触や視線の向く先が違います。同じ線を描くつもりでも、道具を持ち替えたときに指へ力を入れ直していることがあります。持ち方をひとつの正解に合わせるより、いつ強く握っているのかに気付くところから始めてみます。

細かい部分を描こうとして手元へ近づきすぎていないか、長い線を引くための場所が足りているか。線が思い通りにならないとき、握る力だけで調整しようとする前に、紙の向きや画面の表示も見直せます。デジタルの画面では、拡大したまま全体の大きさを見失っていないかも確認したいところです。

道具を変えるときは、その道具で何をしているかを改めて考えます。ペンを持ち続けたまま文章を読む必要はありません。資料を確認する、ページの順序を考える、仕上がりを離れて見る。描線を置く以外の作業の間には、道具を机へ戻すこともできます。

画面の距離と、照明の向き

画面を見る位置は、文字や線を無理なく読めることを目安に考えます。遠くにある画面へ体だけを前に寄せていないか、逆に紙を置く場所が画面のすぐ手前に押し込まれていないか。表示の大きさと、机の上での位置を一緒に見直してみましょう。

照明は、明るければそれだけで見やすいとは限りません。紙へ手の影が落ちる、画面に窓が映る、光の反射で線が見えにくいといった場面があります。いつもの席に座り、描いている位置から光の向きを確かめます。紙と画面を行き来するなら、両方がどう見えるかを眺めます。

作業を始めた時点と、日が暮れた後では、同じ机でも見え方が変わります。夢中になっていても、照明を点ける、紙を置き直すといった小さな切り替えを、工程の区切りに含めておくとよいでしょう。

次のページへ進む前に、区切りを置く

続きを描きたい気持ちがあると、区切りは後ろへ延びがちです。ページが終わったとき、ペン入れから確認へ移るときなど、作業の中にある境目を見つけてみます。そこでいったんペンを置き、机から離れる時間を取ることも、予定の一部として考えます。

休みの間まで次の線を追い続けず、姿勢を変えたり、窓の外へ目を向けたり、身の回りを片付けたりして過ごせます。体を動かす場合も、決まった形を無理にまねる必要はありません。痛みのある動きを続けたり、強く伸ばそうとしたりせず、自分の様子に合わせて止めます。

休みを終えて戻るときは、何から再開するかがわかるようにしておくと、作業の続きを探さずに済みます。途中のページに短いメモを残す、次に使う道具だけを脇へ置くなど、自分にわかる目印で十分です。

締切までの時間に、眠る時間も入れる

残っているページ数だけを見て予定を立てると、確認、片付け、持ち物の準備といった作業が後から増えることがあります。締切の前には、描く時間だけでなく、原稿を見直す時間、手を止める時間、眠る時間も含めて予定を書き出してみましょう。

仕上げたい内容が予定に収まらないときは、どこまでを今回の形にするか考えることも制作の判断です。余白や細部を見直す作業と、休む時間をどこまでも削ることを同じ選択肢にせず、作るものの範囲から調整してみます。

翌日の予定があるなら、机を離れる時刻も予定に入れます。完成するまで終われないという区切りだけでは、眠る時間が決まらなくなります。制作を続ける日も、持ち物を整えて出かける日も、自分が使える時間の中で段取りを組むことが出発点です。

痛みが続くときは、作業を止める

描いている間や作業の後に痛みが続く場合は、描く作業を止めて専門家に相談してください。道具の持ち方や机の位置だけで理由を決め付けず、我慢して続きを進めないことが大切です。

このページで考えたのは、制作のための道具と時間の置き方です。お絵かきの道具に並ぶペン先や線幅の選択と同じように、紙の向き、光の向き、ペンを置く区切りにも目を向けてみる。作品の外側にも、描くために決められることがあります。